今回の間違えやすい四捨五入問題は、パーセントを小数第〇位まで求めるタイプの問題です。
「生徒の人数は昨年と比べて何%増えましたか。小数第1位まで求めなさい。」
「湿度は何%になりますか。小数第2位を四捨五入して答えなさい。」
などのような、割合や濃度、湿度の百分率(%)を四捨五入して求める問題は中学入試、中学理科でもよく出題されます。
一見どうということのない問題なのですが、多くの生徒が同じようなミスをしているのが見られます。
四捨五入の問題 百分率を小数第1位まで求める「何%増加した?」
突然ですが、今回は問題からスタートします。
【問題】まなぶさんの学校の生徒の人数は、昨年は356人でしたが、今年は392人でした。昨年より何%増えましたか。四捨五入して小数第1位まで答えてください。
この問題をまなみさんは次のように解きました。
\(392-356=36\) … 増えた生徒の人数
\(36÷356=0.101…\) … 増えた割合
小数第2位を四捨五入すると\(0.1\)
よって答えは\(10\)%
この考え方はどこか間違っているそうです。どこが間違っているのでしょうか。
四捨五入の問題 百分率を小数第1位まで求める正しいやり方
この問題で「小数第1位まで」答えるというのは、「百分率を四捨五入して小数第1位まで答えなさい」という意味です。(上記のように説明した上で生徒に問題を解かせても、結構間違えてしまうお子さんが多いです…。)
小数第1位まで答えるということは、百分率の小数第2位を四捨五入することになります(第1位を四捨五入するわけではありません、念のため)。つまり、わり算するときには小数第4位まで求めておかないといけません(100倍すると小数第4位の数字が小数第2位になるため)。
\(36÷356=0.1011…\)
より、\(0.1011×100=10.11\) → \(10.1\)%
となります。
式をまとめると、
\(36÷356×100=10.11…\) → \(10.1\)%
まとめた式の方が「小数第1位まで求める」の意味がわかりやすいのですが、生徒を見ているとこの習慣をつけにくいように感じます。
百分率を四捨五入して答えるときの注意点
割合、濃度、湿度などの「%」を四捨五入して求めるとき、わり算の筆算をする段階で四捨五入したい「けた」より2つ分多めに計算しておかないといけません。
100gの食塩水の中に15.5gの食塩が入っていたら15.5%になりますが、これを四捨五入して整数で答えなさいというとき、
\(15.5÷100=0.155\)
となり、小数第1位を四捨五入するから0%だ!
と考える人はあまりいないと思います(と思いたい)。
わかりやすい例なので計算しなくても四捨五入をすれば「16%」とわかる人も多いと思いますが、きちんと計算して考えると
\(15.5÷100=0.155\)
の「小数第3位の5」を四捨五入することになります。(0.155 → 0.16より16%)
つまり「%を小数第3位を四捨五入して小数第2位まで求めなさい」というときは、わり算の筆算で小数第5位まで計算しておく必要があります。
まとめ
中学受験生、中学生の指導をしていて「百分率の四捨五入」の間違いをしている生徒さんが多く見られるので、今回このタイプの四捨五入をとりあげてみました。(問題文には四捨五入とは書いていないこともあります。)
中学受験の算数、中学数学・理科の分野で%を四捨五入して答える問題がよく出題されています。また公立中高一貫校などの「適性検査」タイプの問題でも、資料を読みとって割合を四捨五入して答える問題が見られます。
問題の考え方や計算までせっかく合っているのに、最後に答える段階でミスしてしまうと非常にもったいないです。テストや入試前に「四捨五入」の考え方をわかっているか、確認していただければ…と思います。