今回はオームの法則を利用した、並列回路での基本的な計算問題とその考え方をまとめました。
並列回路でオームの法則を利用するとき、並列回路での電流・電圧の流れ方、合成抵抗の考え方も理解しておかないといけません。直列回路とは異なるので注意しましょう。
並列回路での電流・電圧・抵抗
並列回路では電流・電圧・抵抗の値がどのようになるかを確認します。
並列回路の電流
並列回路では回路を流れる電流が、各抵抗で分かれます。
上の図で
電流計の電流の値=抵抗Aを流れる電流+抵抗Bに流れる電流
となります。
上の回路だと抵抗Aを流れる電流と抵抗Bに流れる電流の和が4Aになります。3つ以上の並列回路も電流の流れ方は同じです。
並列回路の電圧
並列回路では、電源の電圧と等しい電圧が、各抵抗にかかります。
上の図で、
電源の電圧=抵抗Aにかかる電圧=抵抗Bにかかる電圧
となります。
上の回路では、抵抗Aにかかる電圧と抵抗Bにかかる電圧のどちらも3Vになります。抵抗が3つ以上(3列以上)の並列回路でも、各抵抗に電源の電圧と等しい電圧がかかります。
並列回路の電流・電圧の考え方
コースを一周する流れるプールを想像してみてください。途中でプールが2つに分かれてまた元にもどっているとします。下の図でAとBの水の量の和が、分かれる前後の水の量と同じになります。電流も同じように並列回路では電流が分かれてしまいます。
そしてこの途中で道が分かれるプールには傾斜があるとします。プールの水がスムーズに流れるには、下った高さの分上に上がらないといけません。AとBに分かれたとしても、プールの水が流れる高さは同じです。
この上るとき、下るときの高低差が電圧だとすると、途中で分かれる並列回路でも電圧は変わらないと考えられます。
並列回路の合成抵抗
並列回路では回路全体にかかる抵抗は、各抵抗の和より小さくなります。(回路全体にかかる抵抗の逆数は、各抵抗の逆数の和となります。)
上の図で考えると、電源の電圧÷6Ω=抵抗Aを流れる電流、電源の電圧÷3Ω=抵抗Bを流れる電流より、
回路全体の抵抗の逆数=電源の電圧÷(抵抗Aを流れる電流+抵抗Bを流れる電流)
で求められます。
また、電圧の値を利用せず、
回路全体の抵抗の逆数=抵抗Aの抵抗の逆数+抵抗Bの抵抗の逆数
で求めることができます。
抵抗が3つ以上ある場合も各抵抗の逆数の和となります。
上の回路で回路全体の抵抗を、6Ω+3Ω=9Ωとしてはいけません。
$${{1}\over並列回路の合成抵抗(Ω)}={1\over抵抗Aの抵抗(Ω)} + {1\over抵抗Bの抵抗(Ω) }$$
また2つの抵抗の並列回路であれば、次の式を用いて求めることができます。
$${並列回路の合成抵抗(Ω)}={{抵抗Aの抵抗(Ω) × 抵抗Bの抵抗(Ω)}\over{抵抗Aの抵抗(Ω) + 抵抗Bの抵抗(Ω)}}$$
逆数で計算ミスをしやすい人は、こちらの解き方で解くのもおすすめです。
並列回路の計算問題と考え方
並列回路での電圧・電流・抵抗を、オームの法則を用いた計算で求めてみましょう。
並列回路の電圧を求める問題
下の図の回路で、抵抗Aにかかる電圧は何Vになりますか。
並列回路では電源の電圧と各抵抗にかかる電圧が等しくなります。
並列回路の電流を求める
下の図の回路で、抵抗Aに流れる電流と、アを流れる電流は何Aになりますか。
抵抗Aに流れる電流は、抵抗Aにかかる電圧と抵抗Aの抵抗の値から、オームの法則を使って求められます。アを流れる電流は抵抗Aを流れる電流と抵抗Bを流れる電流の和になります。
並列回路の抵抗を求める
下の図の回路で、回路全体の抵抗は何Ωになりますか。
各抵抗にかかる電流の和から求めることができます。また、次の2つの公式のいずれかを利用して解くこともできます。
$${{1}\over並列回路の合成抵抗(Ω)}={1\over抵抗Aの抵抗(Ω)} + {1\over抵抗Bの抵抗(Ω) }$$
$${並列回路の合成抵抗(Ω)}={{抵抗Aの抵抗(Ω) × 抵抗Bの抵抗(Ω)}\over{抵抗Aの抵抗(Ω) + 抵抗Bの抵抗(Ω)}}$$
まとめ
並列回路では、
・並列回路では電流が分かれる
・回路全体の電圧=各抵抗の電圧
・回路全体の抵抗は各抵抗の抵抗の和より小さい
ということをふまえて、必要に応じてオームの法則を利用して解きましょう。さらに並列回路の回路全体の抵抗の求め方も知っておくと、問題が解きやすくなります。
・回路全体の抵抗の逆数=各抵抗の逆数の和
・回路全体の抵抗=各抵抗の積÷各抵抗の和(※)
※2列の並列回路で使える式です。